持続性心房細動(AF)患者の治療において、肺静脈隔離術(PVI)にマーシャル静脈内エタノール注入(EIVOM)を併用した線状アブレーションを追加することにより、PVI単独と比較して12ヵ月以内の心房性不整脈再発が有意に改善された。中国・Beijing Anzhen HospitalのCaihua Sang氏らPROMPT-AF investigatorsが、中国の3次医療機関12施設で実施した研究者主導の多施設共同無作為化非盲検試験「PROMPT-AF試験」の結果を報告した。これまでの無作為化試験では、PVI後に線状アブレーションを追加したときのPVI単独に対する優越性は検証されていなかった。EIVOMは僧帽弁輪峡部でのアブレーションを容易にし、線状アブレーション戦略の有効性を改善する可能性があるとされていた。JAMA誌オンライン版2024年11月18日号掲載の報告。
EIVOM併用線状アブレーション追加の有効性をPVI単独と比較
研究グループは、2021年8月27日~2023年7月16日に、18~80歳で、少なくとも1種類の抗不整脈薬に抵抗性を示し、AFアブレーション歴のない持続性AF(持続性AFエピソードが3ヵ月以上持続)患者498例を対象に試験を行った。被験者を、PVI群またはPVI+EIVOM+線状アブレーション群(介入群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。
介入群では、最初にEIVOMを行った後、PVIと左房天蓋部、僧帽弁輪峡部、三尖弁下大静脈間峡部の線状アブレーションを行った。
患者にウェアラブル単極誘導心電図(ECG)パッチを1週間に24時間装着してもらいモニタリング。また、症状発現時にECGやホルター心電図を追加した。
主要エンドポイントは、アブレーション後12ヵ月以内(3ヵ月のブランキング期間を除く)に抗不整脈薬を使用せず30秒以上続くあらゆる心房性不整脈が認められなかった患者の割合であった。副次エンドポイントには、心房性不整脈の再発、AF、複数回の処置後の心房性不整脈の再発、抗不整脈薬の有無にかかわらず記録された心房頻拍または心房粗動、AFの重症度、および生活の質(QOL)の改善が含まれた。
主要エンドポイントはEIVOM併用線状アブレーション追加が良好
無作為化された患者498例のうち、495例(99.4%)が主要解析に組み入れられた。平均(±SD)年齢は61.1±9.7歳、男性が361例(72.9%)であった。
主要エンドポイントである12ヵ月以内の抗不整脈薬不使用で30秒以上続く心房性不整脈が認められなかった患者の割合は、介入群で246例中174例(70.7%)、PVI単独群で249例中153例(61.5%)であった(ハザード比:0.73、95%信頼区間:0.54~0.99、p=0.045)。介入効果は、事前に規定されたすべてのサブグループで一貫していた。
副次エンドポイントについては、有意な結果は認められなかった。また、手技に関連する有害事象の発現率に両群で差はなかった(p=0.15)。
(医学ライター 吉尾 幸恵)